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Kamonoha World

日々の研究や日常の一部、読んだもののノート的なものです。メタ倫理学が中心です。

Bernard Williams 'Practical Necessity' 'Moral Incapacity'

行為者が彼・彼女が行うべき行為について熟慮した結果,ある行為を行わなければならない(must)と結論する場合がある.これが,実践的必然(practical necessity). ある行為を行わなけれならない,と決めることは,「φするべきである(ought)」と決める…

Chris Heathwood (2015) Irreducibly Normative Properties

非自然主義者は、規範的性質が自然的性質に、還元できない、もしくは、それによって説明できない、という主張をする。ここから、彼らは規範的性質が何でないのか主張することはできても何であるのか説明することに困難を抱えている。 *たとえばダンシーなど…

Peter Railton (1989) 'Naturalism and Prescriptivity' Social Philosophy and Policy

21世紀に入ると規範性を巡る問いとして議論されている問題だが、Railtonはこれを指令性(prescriptivity)についての問いだと考えていた。 Railtonの問題設定:道徳的性質が自然的性質だった場合、道徳的性質に関する判断は自然的性質についての判断だという…

Steiner, H. An Essay on Rights、第3章 'Rights'

何が権利か、という問い、そして、それは権利であるのか、他の道徳的な価値なのか、という問い。 なぜ後者が問題になるのか?(p. 56) →道徳的なものとは何か、ということが問いであった場合、特に問題にはならない。しかし、ある道徳的なものを、他の道徳…

Steiner,H. Moral Rights in Copp,D (ed.) Oxford Handbook of Ethical Theory

道徳において権利がどのような位置を占めるのかという問い。伝統的な帰結主義、義務論において、権利は根源的なものと見なされてこなかった。 Benthamによる自然権の重要性の否定:いわゆるnonsense on stilts大言壮語の上のナンセンス →このことから考える…

Steiner, H. Directed Duties and Inalienable Rights (2013)

*Inalienable rights(不可譲の権利)と選択説を巡る問題 選択説の問題点として、しばしば不可譲の権利の問題が挙げられる。もし譲ることができない権利があるとすると、そもそもその権利を放棄するということができないということになる。そのような権利を…

Andrew Brennan & Yeuk-Sze Lo, Environmental Ethics, in Stanford Encyclopedia of Philosophy

*特に都市倫理に関連する記述についてまとめる. 哲学の一分野として環境倫理が起こってきたのは1970年代のこと.西洋に伝統的にあるとされる人間中心主義(anthropocentrism)への反論として起こってきた. 自然の価値を巡る2つの潮流: ①人間中心主義を否…

W. Wu. Mental Action and the Threat of Automacity. (2013)

Schneider & Shiffrinによる自動的過程(automatic process)に関する研究(1977):自動的過程は,主観(subject)による能動的な制御(contoroll)や注意の介在なしで起こる(activated).一方で,制御的過程は,そのような制御や注意を介在にして起こる…

Christopher Peacocke. Mental Action and Self-Awareness (1). in Contemporary Debates in Philosophy of Mind. (2007)

Peacockeの戦略:物理的な行為に関する自覚(awareness)と同じような自覚を心的行為についても持つことができる。だから、心的行為も行為として気付かれている、ということになる、という議論。 麻酔をかけている時に何の知覚がなくても物理的な行為を行っ…

Galen Strawson. Mental ballistics or the involuntariness of spontaneity. Proceedings of the Aristotelian Society, vol. 103, (2003)

Strawsonの主張:推論や考え、判断などは、行為者性を持たない、との主張。心的行為の否定とも理解できる。 Strawsonの主な主張:意図(intention)は内容を持つ心的状態を作り出すことはできない。意図は心的内容そのものを作り出すことはできない。 Straws…

Pekka Vayrynen. The Lewd, the Rude and the Nasty: A Study of Thick Concepts in Ethics (2013)

Vayrynenによるいわゆる厚い概念に関する単著。 Vayrynenの主張:「猥褻」「無礼」「不愉快」などと呼ばれるものは通常否定的な評価を受けるが、このような否定的な評価は我々がこれらの概念を使って思考するのに本質的ではない。つまり、猥褻であってもそれ…

Avner de-Shalit. Philosophy Gone Urban. Journal of Social Philosophy (2003)

環境倫理を巡る議論の中で想定されている一つの考え:都市における生活、人生(urban life)は、田舎での生活や人生(life in the country)よりも、道徳的に劣っている。 これは実は聖書的な考えかもしれない。聖書では、都市の人々は道徳的に退廃している…

Smantha Noll. History Lessons: What urban environmental ethics can learn from Nineteenth Century Cities. Journal of Agricultural Environmental Ethics

近年、Light, Wellman, Palmer, de Shalitといった論者によって、都市環境倫理の必要性が論じられ始めた。彼らは、都市における環境問題の重要性を訴え、それを「都市のブラインドスポット(urban blind spot)」という言葉でしばしば表現している。だが、こ…

Brian Huss. Three challenges (and three replies) to the ethics of belief. (2009)

信念の倫理に対する3つの反論に対して応答を試みるという趣旨。Hussが扱う反論は、①認知上の合理性は手段的合理性(instrumental rationality)ではない。だがそうなると自然主義的な世界観を想定している哲学者は認知上の合理性を受け入れることができない…

Matthew Soteriou. Introduction. in Metal Actions (2009)

心的行為について考える場合、最初に考えるのは、心的行為とは我々の様々な心的活動のどの部分を含むものなのか、という問い。 Peacocke:judiging, deciding, acceptings, attendings to something, calculatings, reasonings, and tryingsこれら全ては心的…

David Hillel Ruben. Trying in Some Way. Australasian Journal of Philosophy (2013)

ある行為者が何かを試みている(trying)、という表現は、何らかの個物(particular)を指していると考えられている。この想定にたった上で、では、この表現で指される個物が、どのようなタイプの例化であるのか、議論が分かれる。心的な個物なのか、脳の状…

Jennifer Hornsby. Basic Activity. Proceedings of the Aristotelian Society Supplementary Volume (2013)

行為の形而上学に関する2つの考え: ①デイビッドソン流の行為を出来事だとする考え。行為者は出来事記述によって説明できるとする説。 ②他の考え:行為者は出来事でもあり、過程(process)でもある。 ②によると、行為が起こるには過程がなければならないと…

Gillian Brock. Global Justice. Stanford Encyclopedia of Philosophy (2015)

世界正義論:Global Justice(日本ではやはり井上達夫の『世界正義論』か。押村の「国際正義」という言葉はinternational justiceということになるか) これまでの正義論は(ロールズに代表されるように)主に国家内の正義に関する議論が多かった。しかし最…

Rowland Stout. Action (Central Problems of Philosophy). (2005)

*行為の形而上学的な地位とその道徳的評価の関係はどのようなものになっているのだろうか。行為をある仕方で形而上学的に理解した場合、道徳的評価の対象にはなり得ない、ということがあるのだろうか。 第1章:行為や行為者が意図的に行為するとはどういう…

Jonathan Dancy. Action in Moral Metaphysics. New Essays on the Explanation of Action. (2009)

近年の道徳哲学においては形而上学的な考察が盛んに行われている。一方で、Dancyは、行為論における議論に行為の形而上学は必要ないと主張する。Dancyは、行為というものは、形而上学的にいって、何か他から独立した存在と考える必要がないと主張する。 Danc…

Yair Levy. Intentional Action First. 2013

Williamsonが認識論において行ったknowledge firstのプロジェクトを行為論においても行うべきであるとの主張.意図的な行為は分析不可能なものであり,意図的な行為によって,行為論において議論されている様々な考え,たとえば行為(action)や自発性(volu…

Jonas Olson. The metaphysics of reasons. in The Oxford Handbook of Reasons and Normativity.

規範的理由に関するサーベイ的な論文.メタ規範的な問題は,理由とは何か,という問いではなく,理由的関係とは何か,という問いが中心的であると論じる.Parfit, Skorupski, Schroederらの提案を検討する. 通常,理由は事実として理解されている.事実とは…

James Lenman. Reasons for Action: Justification vs. Explanation. Stanford Encyclopedia of Philosophy. (2009)

正当化のための理由と説明的理由は概念的に違うもの.ある行為を正当化する理由が,その行為がなぜなされたのか説明するとは限らない.また,ある行為が為された理由を説明するものが,その行為を正当化するかどうかもわからない.だから両者は別種のものだ…

George Wilson, Samuel Shpall. Action. Stanford Encyclopedia of Philosophy (2012)

行為論の論争の状況を整理したSEPのエントリー.行為の説明に関する箇所を見てみる. 意図的な行為は,その行為者の理由によって説明できる,と考えられている.では,ここで示される理由による説明とはどのような性質を持つものなのか.Davidsonは理由によ…

Paul Bloomfield. Archimedeanism and Why Metaethics Matters (2009)

DworkinやBlackburnなどは,メタ倫理学的な探求は倫理学の一階レベル探究であるとする.そして特にDworkinは,メタ倫理は結局は規範倫理であるわけだから,メタ倫理など行う必要がないと論じる.Bloomfieldはこのような主張に対して反論を試みる. Dworkinに…

Michael Ridge. Anti-Reductionism and Supervenience. Journal of Moral Philosophy

非還元主義者の課題の1つ:道徳の付随性(supervenience)を説明すること. *Enochは彼のような強固な実在論(robust realism)を受け入れても,JacksonやBlackburnによる付随性に訴える論法を退けることができると主張する. Jacksonへの反論:性質の同一…

用語の確認 Non-Cognitivism, Expressivism

EmotivismとExpressivismは何ですかと言われると割と簡単に答えられるが、Non-CognitivismとExpressivismって何か違うんですかと言われるとうまく答えられない気がしてくる。一応ここで用語の整理をしておく。 Ayer(1936):Ayerは、「道徳的な記号がある命…

Neil Sinhababu. Ethican Reductionism

*ニールさんとはイギリス、ニュージーランドの学会でお会いしたことがあり、いろいろとお話をすることができた。哲学を楽しんでる観が相当あるなあ、という方だった。お話をしていてかなり勉強になった。今はシンガポールだから、どこかで東アジアメタ倫理…

Nicholas Sturgeon. What Difference Does it Make Whether Moral Realism is True?

SturgeonによるBlackburn的な準実在論・非認知主義への反論。Sturgeonは準実在論では確保できない実在論的な想定や考えがあると主張する。 準実在論の目論見:形而上学的、認識論的な見解の違いを除けば、実在論と同じ主張をすることができる。規範倫理にお…

Pekka Väyrynen. Some good and bad news for ethical intuitionism

Sturgeonの直観主義批判への応答。 VäyrynenはSturgeonの議論には問題があると主張するが、それでも直観主義は議論が分かれる想定をする必要が出てくると論じる。 VäyrynenのSturgeonへの反論: BonJourのア・プリオリ性の説明:ある命題がア・プリオリに知…

Nicholas Sturgeon. Ethical Intuitionism and Ethical Naturalism

(今ではそうでもなくなってきたが)直観主義はしばしば否定される。では、この直観主義と反省的均衡の方法の関係はどのようなものになるのか?HareはRawlsへの批判として、この方法が(道徳に関する感覚を想定する)直観主義に訴えざるを得ないと批判してい…

Kimberley Brownlee. A Human Right against Social Deprivation

Brownleeは社会的剥奪(social deprivation)にさらされない権利を主張する。彼女はこの権利は人権を巡る議論の中で見過ごされてきたものだと主張する。また、Brownleeはこの権利は他の重要な権利を守るために必要なものだと主張する。 Brownleeは剥奪を、貧…

David Copp Normativity and Reasons: five arguments from Parfit against normative naturalism

自然主義者は道徳的性質は他の自然科学で探究されている自然的性質と似たものだとする一方、非自然主義者はこれを否定する。この意見の不一致の主な原因は、後者が道徳的性質の規範性(normativity)を自然主義者は説明できないと考えていることである。 虐…

Judith Jarvis Thomson 'The Legacy of Principia' (2003)

ThomsonはMooreのthe open question argumentを以下のように理解する。 ムーアの前提:良さという性質が存在する。 開かれた問いの論証の前提:どのような自然的性質であっても、それを持つもの(things)が良さという性質を持っているかどうかとの問いは、…

'Supervenience in Ethics' in Stanford Encyclopedia of Philosophy, Tristram McPherson, 2015

付随性(supervenience)は形而上学において通常あるクラスの性質間の関係に関する考えとして理解されている(as relations between pairs of classes of properties)。A-性質の変化はB-性質の変化がなければ起こらない場合、A-性質はB-性質に付随…

Mark Schroeder 'Having Reasons' Philosophical Studies, 2008 

*日本語における表現としては、「理由がある」という、there is a reason to phi の言い方が一般的だろうか。「僕には理由がある」とは言うが、「僕は理由を持っている」とは言わないだろう。 何かを持つという場合の2つのケース ①オペラのチケットを持っ…