Kamonoha World

日々の研究や日常の一部、読んだもののノート的なものです。メタ倫理学が中心です。

勉強ノート

Scott Shapiro. The "Hart-Dworkin" Debate: A Short Guide for the Perplexed.

Shapiroが目指すこと:Hart-Dworkin論争が何についての論争なのか、明確にすること。この論争は法が規則と共に原理も含むか否かについての論争なのか。裁判官がハードケースにおいては自由に判決を決めてもよいということなのか。アメリカにおいて法律をどの…

Pekka Väyrynen (2008), Usable Moral Principles in Vojko Strahovnik, Matjaz Potrc & Mark Norris Lance (eds.), Challenging Moral Particularism. Routledge

個別主義:道徳原理に従うべきではない、それは、道徳原理はわれわれが正しい行為を行うに際して悪影響を及ぼすから. Väyrynenはこの個別主義的な主張に対して、彼が提案するヘッジがきいている原理は、われわれの行為を正しく指導する道徳原理であると主張…

Judith Jarvis Thomson, The Trolley Problem (1985)

フットのトロッコ事例(1978):あなたはトロッコの運転手だったとしよう.このままいったら5人のたまたま居合わせた作業員をひき殺してしまう.トロッコのブレーキは壊れている.もう一方の線路にはこちらにもたまたまいた作業員が1人いる.もしそちらの…

Richard Amesbury (2016), 'Fideism' Stanford Encyclopedia of Philosophy

Plantiga(1983, 'Reason and Belief in God')によるfideismの定義:哲学的、もしくは、宗教的真理を得るために、理性ではなく、信仰のみに訴えること ポイント:①信仰主義者は「真理」探求のために信仰にのみ訴えるべき場面があると主張していること。②こ…

Harry Frankfurt (1969), Alternate possibilities and moral responsibility

(いうまでもなく、この論文は別行為可能説への古典的反論。だいぶ前に勉強したのだが、授業の関係であらためて読むことになり、内容の確認のために再び勉強) (道徳的責任についての)別行為可能説:ある行為がそれを為した人の責任であるのは,その人がそ…

Stathis Psillos Causation and Explanation (2002) Chapter 5 The regularity view of laws

ヒューム的な因果説から導き出されること:自然界に規則性があるということ。あるタイプの出来事とあるタイプの出来事の間に一定の規則性が存在するということ (137)。 規則性説の問題点:全ての規則性が因果的な規則性ではないはず。このことから考えると、…

David Copp, Rationality and Moral Authority (2015) in Oxford Studies in Metaethics, vol. 10

合理性の教理(the Rationality Doctrine RD):道徳が規範的であるかどうかは、道徳と合理性の間に何らかの関係がある場合のみ Copp:RDの一つの形態である「基本的な関係性のテーゼ:the Basic Linkage Thesis(BLT)」を退ける。このことにより、RDにも疑…

Bernard Williams 'Practical Necessity' 'Moral Incapacity'

行為者が彼・彼女が行うべき行為について熟慮した結果,ある行為を行わなければならない(must)と結論する場合がある.これが,実践的必然(practical necessity). ある行為を行わなけれならない,と決めることは,「φするべきである(ought)」と決める…

Chris Heathwood (2015) Irreducibly Normative Properties

非自然主義者は、規範的性質が自然的性質に、還元できない、もしくは、それによって説明できない、という主張をする。ここから、彼らは規範的性質が何でないのか主張することはできても何であるのか説明することに困難を抱えている。 *たとえばダンシーなど…

Peter Railton (1989) 'Naturalism and Prescriptivity' Social Philosophy and Policy

21世紀に入ると規範性を巡る問いとして議論されている問題だが、Railtonはこれを指令性(prescriptivity)についての問いだと考えていた。 Railtonの問題設定:道徳的性質が自然的性質だった場合、道徳的性質に関する判断は自然的性質についての判断だという…

Steiner, H. An Essay on Rights、第3章 'Rights'

何が権利か、という問い、そして、それは権利であるのか、他の道徳的な価値なのか、という問い。 なぜ後者が問題になるのか?(p. 56) →道徳的なものとは何か、ということが問いであった場合、特に問題にはならない。しかし、ある道徳的なものを、他の道徳…

Steiner,H. Moral Rights in Copp,D (ed.) Oxford Handbook of Ethical Theory

道徳において権利がどのような位置を占めるのかという問い。伝統的な帰結主義、義務論において、権利は根源的なものと見なされてこなかった。 Benthamによる自然権の重要性の否定:いわゆるnonsense on stilts大言壮語の上のナンセンス →このことから考える…

Steiner, H. Directed Duties and Inalienable Rights (2013)

*Inalienable rights(不可譲の権利)と選択説を巡る問題 選択説の問題点として、しばしば不可譲の権利の問題が挙げられる。もし譲ることができない権利があるとすると、そもそもその権利を放棄するということができないということになる。そのような権利を…

Andrew Brennan & Yeuk-Sze Lo, Environmental Ethics, in Stanford Encyclopedia of Philosophy

*特に都市倫理に関連する記述についてまとめる. 哲学の一分野として環境倫理が起こってきたのは1970年代のこと.西洋に伝統的にあるとされる人間中心主義(anthropocentrism)への反論として起こってきた. 自然の価値を巡る2つの潮流: ①人間中心主義を否…

W. Wu. Mental Action and the Threat of Automacity. (2013)

Schneider & Shiffrinによる自動的過程(automatic process)に関する研究(1977):自動的過程は,主観(subject)による能動的な制御(contoroll)や注意の介在なしで起こる(activated).一方で,制御的過程は,そのような制御や注意を介在にして起こる…

Christopher Peacocke. Mental Action and Self-Awareness (1). in Contemporary Debates in Philosophy of Mind. (2007)

Peacockeの戦略:物理的な行為に関する自覚(awareness)と同じような自覚を心的行為についても持つことができる。だから、心的行為も行為として気付かれている、ということになる、という議論。 麻酔をかけている時に何の知覚がなくても物理的な行為を行っ…

Galen Strawson. Mental ballistics or the involuntariness of spontaneity. Proceedings of the Aristotelian Society, vol. 103, (2003)

Strawsonの主張:推論や考え、判断などは、行為者性を持たない、との主張。心的行為の否定とも理解できる。 Strawsonの主な主張:意図(intention)は内容を持つ心的状態を作り出すことはできない。意図は心的内容そのものを作り出すことはできない。 Straws…

Pekka Vayrynen. The Lewd, the Rude and the Nasty: A Study of Thick Concepts in Ethics (2013)

Vayrynenによるいわゆる厚い概念に関する単著。 Vayrynenの主張:「猥褻」「無礼」「不愉快」などと呼ばれるものは通常否定的な評価を受けるが、このような否定的な評価は我々がこれらの概念を使って思考するのに本質的ではない。つまり、猥褻であってもそれ…

Avner de-Shalit. Philosophy Gone Urban. Journal of Social Philosophy (2003)

環境倫理を巡る議論の中で想定されている一つの考え:都市における生活、人生(urban life)は、田舎での生活や人生(life in the country)よりも、道徳的に劣っている。 これは実は聖書的な考えかもしれない。聖書では、都市の人々は道徳的に退廃している…

Smantha Noll. History Lessons: What urban environmental ethics can learn from Nineteenth Century Cities. Journal of Agricultural Environmental Ethics

近年、Light, Wellman, Palmer, de Shalitといった論者によって、都市環境倫理の必要性が論じられ始めた。彼らは、都市における環境問題の重要性を訴え、それを「都市のブラインドスポット(urban blind spot)」という言葉でしばしば表現している。だが、こ…

Brian Huss. Three challenges (and three replies) to the ethics of belief. (2009)

信念の倫理に対する3つの反論に対して応答を試みるという趣旨。Hussが扱う反論は、①認知上の合理性は手段的合理性(instrumental rationality)ではない。だがそうなると自然主義的な世界観を想定している哲学者は認知上の合理性を受け入れることができない…

Matthew Soteriou. Introduction. in Metal Actions (2009)

心的行為について考える場合、最初に考えるのは、心的行為とは我々の様々な心的活動のどの部分を含むものなのか、という問い。 Peacocke:judiging, deciding, acceptings, attendings to something, calculatings, reasonings, and tryingsこれら全ては心的…

David Hillel Ruben. Trying in Some Way. Australasian Journal of Philosophy (2013)

ある行為者が何かを試みている(trying)、という表現は、何らかの個物(particular)を指していると考えられている。この想定にたった上で、では、この表現で指される個物が、どのようなタイプの例化であるのか、議論が分かれる。心的な個物なのか、脳の状…

Jennifer Hornsby. Basic Activity. Proceedings of the Aristotelian Society Supplementary Volume (2013)

行為の形而上学に関する2つの考え: ①デイビッドソン流の行為を出来事だとする考え。行為者は出来事記述によって説明できるとする説。 ②他の考え:行為者は出来事でもあり、過程(process)でもある。 ②によると、行為が起こるには過程がなければならないと…

Gillian Brock. Global Justice. Stanford Encyclopedia of Philosophy (2015)

世界正義論:Global Justice(日本ではやはり井上達夫の『世界正義論』か。押村の「国際正義」という言葉はinternational justiceということになるか) これまでの正義論は(ロールズに代表されるように)主に国家内の正義に関する議論が多かった。しかし最…

Rowland Stout. Action (Central Problems of Philosophy). (2005)

*行為の形而上学的な地位とその道徳的評価の関係はどのようなものになっているのだろうか。行為をある仕方で形而上学的に理解した場合、道徳的評価の対象にはなり得ない、ということがあるのだろうか。 第1章:行為や行為者が意図的に行為するとはどういう…

Jonathan Dancy. Action in Moral Metaphysics. New Essays on the Explanation of Action. (2009)

近年の道徳哲学においては形而上学的な考察が盛んに行われている。一方で、Dancyは、行為論における議論に行為の形而上学は必要ないと主張する。Dancyは、行為というものは、形而上学的にいって、何か他から独立した存在と考える必要がないと主張する。 Danc…

Yair Levy. Intentional Action First. 2013

Williamsonが認識論において行ったknowledge firstのプロジェクトを行為論においても行うべきであるとの主張.意図的な行為は分析不可能なものであり,意図的な行為によって,行為論において議論されている様々な考え,たとえば行為(action)や自発性(volu…

Jonas Olson. The metaphysics of reasons. in The Oxford Handbook of Reasons and Normativity.

規範的理由に関するサーベイ的な論文.メタ規範的な問題は,理由とは何か,という問いではなく,理由的関係とは何か,という問いが中心的であると論じる.Parfit, Skorupski, Schroederらの提案を検討する. 通常,理由は事実として理解されている.事実とは…

James Lenman. Reasons for Action: Justification vs. Explanation. Stanford Encyclopedia of Philosophy. (2009)

正当化のための理由と説明的理由は概念的に違うもの.ある行為を正当化する理由が,その行為がなぜなされたのか説明するとは限らない.また,ある行為が為された理由を説明するものが,その行為を正当化するかどうかもわからない.だから両者は別種のものだ…